クマ研日記 2006年10月



10月1日(日)  参加者:近藤、小川、松山



―――この日、あのような悲劇が待ち構えていようとは、     
     よぽキャプラーメンの3人に知る由は無かった…―――



その日もいつもどおりの朝がやってきた。

調査の準備を整えクマジムに乗り込み調査開始。

いつものように、スーパー林道へ。

テレメをしつつ、スーパー林道の頂上に到着。いやぁ爽快爽快。

頂上で車を止めて、休憩しつつ景色を優雅に楽しもうとしたそのとき、クマジムに異変が…!

アクセルを踏んでいないはずなのに、どう考えてもクリープ現象よりも速いスピードで走ってるよー!なぜだ!どうしたジムニー!!!???


…落ち着け。

落ち着くんだ。

これは何かの間違いだ。

と…とりあえず車を止めよう…

カチ(エンジンを切る)


きっとエンジンをもう一度かければ元に戻っている…はず!

そうだよな、ジムニー?


カチャ(エンジンをかける)

ぶおぉぉぉぉん!!!


・・・。

四・千・回・転!?

カチ(即エンジンを切る)


ななななななななんだ!!!??? 今アクセル踏んでないっすよ!!!???

どうしよう…さすがにこれで下山は恐ろしすぎる!

このまま下りれば、スピード出しすぎで確実に崖下へダイブ★

あぁ、お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとう…

さようなら、よぽぽは幸せでした…


…………ておい!!


なんとか生きて下山しようぜ★

きっとアクセルの辺りに何かひっかかっとるんやに!少しアクセルのあたりをカチャカチャ動かして…気を取り直して…

カチャ(エンジンをかける)

ぶおぉぉぉぉん!!!


・・・。

六☆千☆回☆転☆

カチ(即エンジンを切る)


・・・。

あは…あはははは…♪

ひどくなっとるーーーーー!!!???

焦る僕ら。観光バスから向けられる怪訝な顔。

ここはもうヒッチハイクをするしかないのか?

しかし、ここはシャイなクマ研。知らない人の車に乗せていただくなんてそんなそんな…

あ、いや、別に、ていうか、だってさ〜、観光中の一家団欒に水をさすってのもねぇ…ほら、アレでしょ?

そうそう、アレだよね。だからだよね?そう、だからですよ。その辺気を遣って…さ…

というわけでなんとか直らないものかとしつこく粘ってみた。

エンジンをかけては切り、かけては切り…

するとそのとき、奇跡が…!


私たちの感動的な粘りに応えて、なんとエンジンの回転数が正常に戻ったのだった…!!

いや、感動的な粘りっていうか、やっぱり私の日ごろの行いのおかげかな〜。そうそう、そうだよね〜。

よし、回転数が安定している今のうちに下山だ!

アクセルをまったく使わず、エンジンブレーキだけで降りようということになり…トロトロのろのろと無事下山。後続車が来なくてよかったー…。

ふもとの駐車場へ感動的なゴール決めたとき、心の中でサライが聞こえたのは気のせいではないだろう。

その後、おとなしくJAFを呼んだ。

ところが、電話口で何度説明しても自然学校の位置を理解してもらえず、JAFのお兄さんにやきもきした。

もうこのまま会えないのではないかと…。

会えて…良かった…

20分くらい待っていると、遠くにJAFの青い車が。もう何も恐れないよ〜うおうおう。

車が私たちのいる駐車場に止まり、JAFの青い車から降り立ったのは、こぼれる白い歯が光る素敵なお兄さん…





…ではなく、

靴下履いてるのにサンダルを履き、ズボンがちょっと短めで、てっぺんに穴の空いた笠をかぶったおじちゃん!でした。

お…おねがいします…。

ていうか、その笠破れてるよ〜。と教えてあげたかった。あの時言えなかった言葉は僕のポケットの中。

結局、「アクセルワイヤーが切れかけとるで」ということで(恐ろしすぎ!)ジムニー即入院決定。

おじさんに「このまま自動車屋さん(さらに下りたところにある)に持ってきて」と言われ、

エンジンの回転数が上がってしまう恐怖に恐れおののきながらなんとか自動車屋さんに到着した。

笠は破れているものの、なんだかんだ言っておじさんはとてもいい人だったよ。

修理よろしくね♪

いやぁ…最終的に何事もなくてよかったです。

神様、今日もありがとう。


10月21日(土)  参加者:近藤、小川、駒井、鶴田


朝五時、調査者4人がBOXに集合しました。

今回の調査では、クマ糞がいっぱい落ちていたという情報を事前にいただいていたので、クマ糞を持ち帰るためのタッパーを捜索開始。

「BOXにあるよ〜」というボバさん情報を信じて、机の上、引き出しの中、冷凍庫の中を探したけれど見つかりません。

その間にこまちゃんが寝袋を持ってきていないことが発覚。この時期の白川は、寝袋があっても寒いはず。

いくらこまちゃんが石川県のヒトだといっても、寝袋なしで無事でいられるはずがありません。

ということで、BOXに保管されていたミヤガワさんの寝袋を拝借。

心優しいミヤガワさんなら、きっと二つ返事で了承して下さることでしょう。ってゆーか、言わなきゃ誰も気付かないことでしょう。

結局クマ糞用タッパーは見つからなかったけれど、2003年のリターが入っているタッパーが見つかったので、リターを袋に移し変えて問題解決。タッパー入手。

よぽ先輩のジムニーに荷物を積み込み人も乗り込み、白川へと旅立っていったのでした。

狭いセマイと言われるジムニーの後部座席も、チビっ子にはそんなに苦ではありません。こんなときはコンパクトサイズの方が便利なのです。

道中口数の少ない後輩達を、先輩方が気にかけてくださったので、喋ったり喋らなかったりしながら進んで行きました。

こまちゃんは電子レンジとオーブンの違いを「回るか回らないか」で判断していたそうです。

途中、サル2匹を見かけました。

突然、霧がたちこめてきました。

午前中はテレメをしました。スーパー林道は中腹あたりの紅葉が見ごろで、紅葉目当てに調査に来た甲斐がありました。

いぇいぇ、もちろんメインは調査ですけどね。

日当たりのよい場所では、赤や黄色に染まった山の斜面に陽が当たり、ところどころに目立つ常緑針葉樹が緑色のアクセントとなり、

キラキラとした美しさが私たちを楽しませました。

また、霧がかかっている場所では、赤い葉をつけた木が霧の向こうに浮かび、もやっとした美しさをかもし出していました。

さてテレメ。さすがよぽ先輩。4地点から取ったショウグンの電波のうち、三つを見事一点で交差させました。

三ヶ月ぶりに調査に来たこまちゃんは、さっちゃんの電波をとりましたが、一点で交差させてしまいました。上手〜。

最近はこの二個体からしか電波がとれないようで、今日も同じでした。

午後はシード回収をしました。今年はミズナラも不作で、トラップの中には落ち葉ばかりでした。

回収は楽だけど悲しくなるくらい落ち葉ばっかりでした。これでは食べるものがなくて、クマが人里に下りてきてしまうのもうなずけます。

そういうわけでシード回収がすぐに終わってしまったので、踏査をすることにしました。

どこを歩こうかといいつつ歩いていると、よぽ先輩がクマ棚らしきものを発見!でっかい鳥の巣みたいです。

木に近づいてみるとクリの木でした。爪跡もあります。やはりクマ棚で間違いないようです。

じゃあクマ糞もあるんじゃないか、って地面を探していたら、見つかりました。貴重なデータ源としてお持ち帰りです。

上を向いて人生を歩いているキャプ先輩は、次々とクマ棚を見つけました。クリの木ばかりのようです。

堅果類が不作の今年はクリをよく食べている、という話が思い出されました。

その後もクマ糞と爪跡と、クマのものと思われるクリの食痕がたくさん見つかりました。

クマ糞にいたっては大収穫すぎて、持ち帰るための袋不足が心配されました。

そのうちのほとんどはクリだったものらしく、マロングラッセのような香りがしました。

下を向いて人生を歩いているペルはクマ糞をたくさん発見したので、危うくキャプ先輩に「クマ糞大臣」に任命されそうになりました。

もちろん丁重に辞退いたしました。

百分率の意味を取り違えたキャプ先輩は、クマ糞発見個数がペル:3、よぽ先輩:1の時点で「ペルのクマ糞発見率が300%だ」、と仰いましたが、

明らかに75%ですよね。

一通り痕跡を探し終えた一行は、いい角度に折れ曲がった木に興味を示し、

登ったりぶら下がったり、ぶら下がったフリをしたりして楽しいひと時を過ごしました。

木の上に座ったこまちゃんは格好の被写体となりました。

しばらく遊んで満足すると、「クマ糞がたくさん落ちている」と事前に聞いていた場所へ向かいました。

その時点ですでに5つ程のクマ糞を拾っていましたが、まだ増えるのです。

やはりそこにはたくさんのクマ糞がありました。心配されていたとおり袋が足りなくなり、キャプ先輩が提供してくださいました。

そして各自おもむろにクマ糞をわし掴みました。いや〜大収穫だ。・・・分析追いつくかなぁ。

テレメのデータまとめをしたあと夕飯まで時間があったので、壊れた車載アンテナをクマジムから外し、ついでに車内の修理とお掃除をしました。

日付が「4年」のレシートが出てきたけど、2004年かな?平成4年かな?ちょっとはきれいになったけど、一回掃除機かけたいです。

夕食からお風呂までの時間の使い道は、調査の度によく問題になりますが、今回は珍しくお勉強をしていました。

たまに居眠りしたけれど。しかしキャプ先輩だけは狸寝入りをしていました。最初は勉強していたけれど。

他の三人がすっかりだまされる程の、みごとな狸寝入りっぷりでした。

ミヤガワさんに寝袋についてメールしたところ、こころよく了承して下さいました。

お風呂から出た後、みんなで空を見ていたら流れ星が流れました。明日はいいコトあるかなっ。

一日の調査を終えたこまちゃんが「栗拾いがしたかったな。クマ糞拾いじゃなくて。」と言いました。

ほんとに今日は、クマ糞に恵まれていました。今日の日記で、いったい何回「クマ糞」という言葉が出てきたのでしょうね。


10月22日(日)  参加者:近藤、小川、駒井、鶴田


この日の朝は思った通り寒かった。

一度起きてしまうと二度寝をすることもできず、とりあえず着替えて隣の部屋へ。

8時になり、食堂で朝ごはんをいただいき、その後今日の調査を開始した。

この日、スーパー林道は自然学校が使用するらしく立ち入ることができなかった。

「ジムニーなら顔パス(?)でいけるんじゃない?」などと言いつつも後々問題となると困るので、スーパー林道はやめておいた。

しかたがないので、きのう電波の取れたショウグンからテレメを開始した。

位置はきのうとほぼ同じ。だが地図に点を落としてみると今日は地図上ではなぜか道の上にいた。

次にさっちゃんの電波を取りに向かった。

スーパー林道には入れなかったので、前の日電波が取れた位置を頼りにゾウゾウ山から場所を変えながら電波を取った。

地図を回転させないと、まだいまいち今いる位置が分からなかったので地図をくるくると回していたが、最終的にはわからなくなってしまった。

後輩ができる前に地図を読めるようになりたいと切実に思った。

さっちゃんは横谷にいるような感じは見せながらも結局、位置を確定することはできなかった。

適当に区切りをつけ、以前は崖崩れで通れなかった卒塔婆峠が通れるようになったというので行くことになった。

そこでなんと、子グマと思われる大きさのクマと遭遇した。

昨日の夜見た流れ星はこのためだったのか!!と、あまりのうれしさに思わずみんなでハイタッチをしてしまったが、

親グマがいるかもしれないと思い内心びくびくし、とりあえず窓を閉めて見ていた。

子グマは一瞬こっちに近づく!?…と見せかけて崖を軽々と上っていってしまった。

じっくり観察する暇が無かったのが残念だったが、姿を見られただけでも結構満足だった。

この日の調査はこれで終わりにして、昼食を食べに戻り、昼からは大白川に滝と紅葉を見に行った。

滝はすごく迫力があり、もっと前にいって見ようということになり、いいのかはわからなかったが微妙に隙間のあった柵の間から前に行って見た。

後から実は立ち入り禁止のところに進入していたことを知ったが、たぶんそこにいた人は誰も気にしてないから別にいいかということで。

紅葉のほうもわりといい感じに色が変わっていて、来てよかったとしみじみ思った。

その後、白水湖を見に行った。

ちょうど露天風呂のほうから歩いてくる二人の人がいて、彼らの靴はおそろいだった。

男の人でおそろいは珍しいなぁと思い、なんとなくペルと眺めてしまった。

さらにそこのトイレにはキャンプ禁止というぱっと見ると不思議な張り紙があった。

トイレに張らなくても…と思いながら大白川から出発し、大学へと向かった。



inserted by FC2 system